FBへの投稿を転載
遅くなりましたがあらためてシュクルキッチン2周年パーティー”Tourner"に来ていただいた皆様ありがとうございました。
思い返せば2年前、知り合いもお客さんもいない、土地勘のない場所で「自分の料理を表現したい」って思いだけでお店を始めました。最初はやっぱり全然うまくいかなくて、「そのやり方じゃ群馬ではダメだよ」とか「商売のやり方がわかっていない」みたいな事を直接的にも遠まわしにもいろんな人から言われてきました。
それでも意地を張って自分のやり方、スタイルを信じてやってきました。料理に関しては、前にも話した事があるんだけど、美味しいものをつくる、自分の料理を究める、というのはもちろんなんだけど、とにかく「文化」を作りたかった。
「ビストロ」っていう食文化もひとつ。でもそれ以上に、きちんとした食材を使ってきちんと料理人が手間をかけて作ったものにはそれなりの対価を払うべきだ、っていう意識を少しでも多くの人に浸透させたかった。
え、そんなの普通じゃん?って思うかもしれない。でも群馬には、これはまあ群馬で生まれ育った人には申し訳ないんだけど、そういう意識をもって食事をしてる人って本当に少ないんです。
流行ってるのはリストランテと名乗りながら安い材料で作ったパスタとピザしかないようなお店。セットメニューでお得感打ち出しながら皿に載ってくるのは既製品ばかりのファミレスまがいの店。メニュー数は多いけど化学調味料で味をまとめるから全部味が均一化されて、バラエティがあるんだかないんだかわからない店。
もちろんそんな店ばかりではないし、それを全否定してるわけではないです。人それぞれの置かれてる環境、経済状況、シチュエーションでそういう店が必要な時だってある。
ただそれとは別に、小さくてもきちんとした料理を出している人、お店にも光が当たるようにしたかった。いや、飲食店、料理人だけの話ではないんです。
少しでも美味しいもの、安全なものを作ろうという生産者。それを正しく売ろうという人。その食材のポテンシャルを最大限に引き出すために手間を惜しまない料理人。全ての人に対してリスペクトがあるべきだと思うし、そのどこの段階でも負担がかかってはいけない。
食材が飼育、、栽培される環境、そこに関わる人の労働環境とか、収入とかも全部ひっくるめてどこにもストレスがかからない。そのためにはそれなりの対価が必要なんです。ただ、そこに対する意識、認識がびっくりするぐらい低い。
悔しいのはそういうまっすぐな気持ちで取り組んでる人に限って、そういう「群馬のお手頃価格、ボリューム感」に押されて苦労している。その状況を何とかしたかった。だから意地でも料理の値段を下げたり安売りはしたくなかった。
そういう人、お店を選んでお金を出すのは、ただ食事をするだけではなく、自分のライフスタイル、価値観の中で大事にしたい、支持したいモノへの意思表示でしょう。投票に例える人もよくいますけど、その1票が積み重なればこの状況が少しは変わるかもしれない。もっと「食べ手の意識が高い食文化」が出来るかもしれない。「夢みたいな事言ってる」って思われても構わないです。
そのためには最終的にお客さんの口に入った段階で、そのまっすぐな、生産者から始まっている食材のストーリーとプロセス、を想像させるきちんとした料理の力が必要だった。だから自分なりに2年間真摯に料理に取り組んできたつもりです。
それでも迷いも葛藤もありました。なかなか理解されない、浸透しない。イコール経済的にも追い込まれるという事です。これはしんどかった。まあ今でも楽じゃないですけど。
同じ意味で今回の2周年のイベントに関しても正直もっと受け入れられやすいやり方もありました。メインのライブは「ジャズサンバ」ってほとんど認知がないようなジャンル。しかも1バンドで3000円いただきます、って来る側からしたら結構難しかったと思います。正直本当に人が集まるのかな、て言う不安はありました。
ただ彼らのレコードはずっと聴いていたし、来てくれればいいものは見せられるっていう自信はありました。これはまあ普段の料理にも言えるんだけど、体感してもらえれば必ず伝わると。
結果は予想以上の盛況。もちろん2周年のお祝いで駆けつけてくれた人もいたし、ライブに興味があった人もいたでしょう。ただやっぱりあの晩に集まってくれた人は普段からそういうオレの姿勢を理解して支えてくれている人たちが多かったと思います。毎日のように足しげく通ってくれる人。新しいメニューが出ると必ず食べに来てくれる人。商売仲間。etc。。。日々悶々と葛藤してるオレに「お前はそのやり方でいいんだよ」って口には出さないけど、そうやってモノ言わずして力をくれてい
る人たちが来てくれたのではないかと。
イベントの成果としても2年間自分の信じた料理をやってきた成果としても非常に有意義だったと思っています。それに華を添えてくれたThe Farah Quintetのアグレッシブなライブアクト。ピースなDJ陣、DOMITSUNE,kani,Farah。オレの思っていたものをドンピシャで描いてくれたMilky Marsのペイント。そして駆けつけて盛り上げてくれたお客さん達。どれが欠けても成立しなかった最高の夜でした。ありがとうございました。
最後に手伝ってくれたマリちゃん、お客さんで来たのにヘルプしてくれたユッキー、佐川さんと岡部さんにも感謝を。
これからもシュクルキッチンをよろしくお願いします。
シェフ 菊地
スポンサーサイト